名古屋グランパス 戦力分析 ― ペトロヴィッチ体制、上位浮上のカギはどこにあるのか

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はじめに

2026/27シーズンのJ1リーグが開幕しました。名古屋グランパスは開幕戦、ホームの豊田スタジアムで清水エスパルスに0-1で敗れるという厳しいスタートを切っています。2025年シーズンを11勝10分17敗の16位で終え、残留争いに巻き込まれたグランパスにとって、今シーズンは「攻撃的な変革」を掲げて再出発する重要な1年です。指揮官には、あのミハイロ・ペトロヴィッチ監督が就任。今回は現時点の情報をもとに、名古屋グランパスの戦力をポジション別に分析していきます。

監督とチームコンセプト ― ペトロヴィッチ・サッカーへの本格移行

ペトロヴィッチ監督が掲げる基本フォーメーションは3-4-2-1。「後方からボールを動かし、多くの選手が攻撃に関わる」というのが基本コンセプトです。広島や浦和で数々のタイトルを獲得してきた指揮官らしく、ビルドアップの局面では最終ラインと中盤の選手が細かくポジションを取り、相手のプレスを外しながら前進することを志向しています。

昨シーズンは残留争いに苦しんだグランパスですが、今シーズンからはこの戦術をより深く浸透させ、上位進出を狙う構えです。実際、シーズン開幕前に行われた「J1百年構想リーグ」では、WESTブロックで3位という結果を残し、最後まで優勝争いをしました。惜しくもプレーオフではFC町田ゼルビアに敗れましたが、新体制のチームづくりが一定の手応えを見せていたことがうかがえます。

ポジション別戦力分析

GK ― 開幕戦で先発したピサノがレギュラー候補に

開幕戦の清水戦でゴールマウスを守ったのは、ピサノ・アレクサンドレ幸冬堀尾(背番号35)。2006年生まれ、身長198cmの大型GKで、U-18出身のプロ3年目です。すでに東アジアE-1選手権では日本代表にも選出されており、開幕戦での先発起用はペトロヴィッチ監督からの信頼の表れと言えるでしょう。このままレギュラーに定着できるかが今シーズンの注目ポイントです。ベテランの元日本代表シュミット・ダニエルとの正GK争いも見どころになりそうです。

DF ― 三國・森の退団を経て、若手の成長がカギに

最終ラインの中心は引き続き藤井陽也(13番)。ロングフィードやドリブルで攻撃を組み立てられるタイプのセンターバックで、チームの守備の柱です。ウイングバックには徳元悠平(55番、副主将)野上結貴(2番)佐藤瑶大(3番)らが名を連ねます。

一方で、今オフには大きな変動がありました。三國ケネディエブスはアビスパ福岡へ期限付き移籍、宮大樹もアビスパ福岡へ完全移籍で退団しており、若手の森壮一郎も岡山にレンタル。この3人の離脱は最終ラインの層の薄さに直結する痛手であり、代わってどれだけ経験者と若手でカバーできるかが問われます。

その意味で注目したいのが、原輝綺(J2優秀選手賞2024を受賞した実力者)と、久保遥夢(前橋育英出身の若手)です。三國・宮が抜けた穴を埋められるだけのパフォーマンスをこの2人がどこまで見せられるか、今シーズンの最終ライン安定度を左右する重要な要素になりそうです。

MF ― 稲垣・高嶺の中盤に、小屋松の復帰が最大の上積み材料

ボランチには稲垣祥(15番)高嶺朋樹(31番)が並びます。高嶺は百年構想リーグでも大活躍、完全移籍も果たしさらなる活躍が期待されます。和泉竜司(7番)、森島司(14番)もおり中盤の構成は決して低くありません。

そして今シーズン最大の注目材料が、10年ぶりに柏レイソルから復帰した小屋松知哉(58番)の存在です。復帰直後の1月30日に右膝内側半月板断裂の手術を受けており、現在もリハビリの途上にありますが、彼が本来のコンディションに戻れば、シャドーの一角として攻撃の質を大きく引き上げるポテンシャルを持っています。復帰のタイミングがいつになるか、シーズン中盤以降の大きな上積み要素として注視したいところです。

加えて、愛媛FCからのレンタルバックとなった甲田英將(19番)の活躍にも期待がかかります。シャドーやインサイドハーフとして違いを作れるタイプで、小屋松が万全でない現状ではなおさら重要な存在になりそうです。

FW ― 実績組に加え、若手・杉浦がブレイクなるか

攻撃陣では、ブラジル人アタッカーマテウス・カストロ(10番)がチームの得点・アシストの中心として期待されます。ただし怪我の明けの為、万全の状態に戻らない場合は大きな誤算となります 永井謙佑(18番)は大ベテランですがスーパーサブとして期待されます、山岸祐也(11番)木村勇大(22番)は百年構想リーグで大活躍、今シーズンのリーグ戦でも同様の活躍が求められます。マルクス・ヴィニシウス(25番)は3月に骨折、復帰後本性発揮してくれるか期待されます

そこに割って入れるかが期待されるのが、U-18から昇格した19歳の杉浦駿吾(30番)です。今年4月25日の試合でプロ初ゴールを記録するなど、若手ながら結果を出し始めています。実績組が並ぶ前線で、この若手がどこまで存在感を発揮できるかは、今シーズンのアタッキングサードに新たな選択肢をもたらすかどうかの試金石になりそうです。

開幕戦(vs清水 0-1)から見えたこと

8月8日の開幕戦、豊田スタジアムには4万人を超えるサポーターが集結しましたが、結果は0-1の黒星スタート。データ上は決してチャンスを作れなかったわけではなく、シュート数・期待ゴール値ともに悪くない数字を残しています。裏を返せば、「攻め込めているのに勝ち点に結びつかない」という、昨シーズンから引きずる課題がそのまま表れた一戦だったとも言えるでしょう。

次戦は8月15日、アウェイで鹿島アントラーズ戦が控えています。ここでどう修正してくるかが、今シーズンのグランパスの方向性を占う試金石になりそうです。

強みと課題のまとめ

強み

  • マテウス・カストロを中心とした、実績ある得点源の多さ
  • 藤井陽也を中心とした、攻撃参加もできる最終ライン
  • 稲垣祥・高嶺朋樹による中盤の守備的な安定感
  • 継続体制によるペトロヴィッチ戦術の浸透度の高さ
  • アジア戦線がない分、リーグ戦に集中できる日程面のアドバンテージ

課題

  • 三國ケネディエブス・宮大樹の退団による最終ラインの層の薄さ、原・久保ら若手の成長速度
  • 小屋松知哉の負傷離脱による、シャドーでの上積み不足(復帰すれば逆に大きなプラス材料)
  • 若手FW杉浦駿吾がブレイクできるかどうかの不透明さ
  • そして何より、今夏の移籍市場で目立った戦力補強がなかったこと。 主力の離脱を若手の成長や復帰待ちの選手で埋め合わせる形になっており、シーズンを通じた選手層の薄さは大きな不安材料です

おわりに

昨シーズンの残留争いを経て、今シーズンは「攻撃的な変革」を掲げるグランパス。しかし退団選手があった一方で、目立った補強がなかったことは正直なところ楽観できる材料ではありません。開幕戦の内容自体は悲観するものではありませんでしたが、今シーズンの浮沈は、新戦力の獲得ではなく「甲田・久保・杉浦ら若手の成長」と「小屋松知哉・マテウスの復帰」という、いわば”内部昇格”にかかっていると言えそうです。ペトロヴィッチ体制の名古屋グランパス、シーズン序盤の戦いぶりに注目していきたいと思います。

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